熱伝導率 担当教師名:高瀬
この実験の目的は、熱伝導の物理的な機構を理解し、熱伝導率が大きく異なる2種類の物質(金属と絶縁体)の熱伝導率を測定することにある。
熱は対流、伝導、放射の3つの機構により高温領域から低温領域へ運ばれるが、その内、熱伝導では物質を構成している原子や分子の熱振動の拡散、および伝導電子の運動により熱が運ばれる。
熱伝導率κは、物質内部の熱の伝わりやすさの指標として使われ、物質の温度Tが定常状態に達しているとき、z方向に垂直な単位面積を通して単位時間に流れる熱量をqとすると
――――――――――――――――――― @
で定義される。
断面積Sの円筒状の試料の両端に温度差を加えて、図1(a)に示すような平面熱流による定常状態をつくると、観測時間τの間に高温側から低温側に運ばれる熱量は@式より
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―――――――――――――――――――― A
となるので、熱伝導率は
―――――――――――――――――――― B
より求められる。
また、長さLの熱源によりつくられる図1(b)の放射状熱流の熱伝導率は
――――――――――――――――――― C
より
――――――――――――――――――― D
となる。このように熱流Qおよび2点間の温度T1,T2を測定して熱伝導率を求めることができる。
熱伝導率実験装置(金属試料:銅,アルミニウム 不良導体:ステンレススチール柱),水槽,クロメル‐アルメル熱電対,冷接点,ディジタルボルトメーター,交流電圧計,交流電流計,秤,ビーカー,断熱テープ,X‐tレコーダー
熱伝導がよい金属の熱伝導率測定は、棒状試料の一端を加熱してつくられる平面熱流により行われる(図2)。温度勾配は熱電対により得られる2点間の温度差から、熱流Qは低温側の水温の上昇率からそれぞれ求められる。熱伝導の悪い絶縁体の熱伝導率は、円柱状試料の中心軸上に熱源を置いてつくられる放射状熱流により測定される(図3)。この場合のQは熱源のヒーターの発熱量から求められる。
ここで、熱起電力から温度、さらに絶対温度への換算について示す。
はじめに、熱起電力から温度への換算について述べる。まず表1の熱起電力が2.55mVのときの温度は、表8から、60℃から70℃の間の温度であることが分かるので、2.55mVというのが60℃から何℃上昇しているのかが分かれば、温度が分かる。従って、60℃からの上昇分をx(℃)とおいて比をとって温度を換算する。比例式は
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と立てられるので、これをといて
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≒
℃
となる。従って求める温度は
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≒
℃
と分かる。ほかの熱起電力についても同様に計算した。
次に、これを絶対温度に換算する。絶対温度T(K)は温度t(℃)より
――――――――――――――――――― E
と表されるので、これに温度を代入して
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![]()
K
となる。ここで、絶対温度に関しては今後の計算に使うので、便宜上、四捨五入はおこなわず、4桁表示にしておく。他の熱起電力についても同様に計算した。
――――――――――――――――― F
B式にF式を代入して
![]()
―――――――――――――――― G
ここで、τは排水量を5分間計ったことから300秒とする。また、アルミニウム,銅ともに半径が1.5×10-2m,z2‐z1=5.0×10-2mである。従って、まず断熱テープを巻いたときのアルミニウムの熱伝導率はG式より
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![]()

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≒
J/msK
となる。次に、断熱テープを巻かないときのアルミニウムの熱伝導率は、G式より
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![]()

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≒
J/msK
となる。つづいて断熱テープを巻いたときの銅の熱伝導率は、G式より
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≒
J/msK
となる。最後に、断熱テープを巻かないときの銅の熱伝導率は、G式より
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≒
J/msK
となる。以上より各々の熱伝導率が求められた。ここで、それぞれの金属の室温での熱伝導率の標準値を示し、求められた熱伝導率と比較・考察する。

表9と実験結果より求められた熱伝導率とを比較すると、実験結果より求められた熱伝導率のほうが全体的に値が低いことが分かる。その理由を考察する。熱伝導率とは熱の伝わりやすさであるから、熱伝導率が高いということは熱が伝わりやすいということである。従って実験値のほうが値が低いということは、実験値のほうが熱が伝わりにくいということになる。では、なぜ実験値のほうが、熱が伝わりにくいのであろうか。その理由を考えてみる。熱が伝わりにくいということは、つまり熱が伝わっていないということである。ではなぜ熱が伝わっていないのか。その理由は、熱が外にもれているためであると思われる。なぜなら、標準値とは絶対に熱が外にもれない状態での値であるから、逆にいうと、実験値のほうは熱が外にもれていると考えられるのだ。ここで、実験では断熱テープを巻いた場合も測っているが、断熱テープを巻いた場合でも熱はもれているものと思われる。従って、断熱テープを巻いた場合でも巻かない場合でも、実験値のほうが、熱が伝わりにくく、熱伝導率が低くなってしまったのだ。また、他の理由としては、金属試料がきちんとした定常状態になかったということが考えられる。なぜなら、実験の中で、水箱の水温状態を一定にするという手順があったが、それが不正確になり、熱源により作られる熱流が正確に一定ではなくなり、結果として金属試料の場所によって異なる熱量になってしまい、正しい熱伝導率を出すことが出来なかったと考えられるからだ。この実験では、いかにして平面熱流による定常状態を作ることが出来るか、ということが重要であったのだと思われる。以上の理由から実験結果より求められた熱伝導率が、標準値より低くなってしまったのであると思われる。
また、実験に使われたX‐tレコーダーのチャートは、図6として頁8に付けた。
断熱テープを巻いた場合と巻かない場合では、アルミニウム,銅ともに、巻いた場合のほうが熱伝導率は高くなった。これは、断熱テープを巻いたほうが熱が伝わりやすいことを表している。その理由としては、(1)の考察でも述べたが、実験では、熱が外にもれていると考えられる。しかし、断熱テープを巻けば、少しもれる量が減るので、結果として熱伝導率が高くなるのであると思われる。従って、断熱テープを巻いた方が熱伝導率が高いのだ。逆にいえば、断熱テープを巻いても少し熱はもれてしまうわけだが、もう少し断熱テープを頑丈にすれば熱のもれはもっと減り、熱伝導率はもっと高くなったであろうと思われる。
また、アルミニウムにおいての断熱テープを巻いた場合と巻かない場合の熱伝導率の差は、約30J/msKであり、銅においても、約30J/msKであることから、2種類の金属において、巻いた場合と巻かない場合の差はおおよそ近いことが分かる。このことから、空気中(大気中)にもれる熱の量は、金属に関係なく、ある一定の量(そのある一定の量に関しては、この2種類だけで断定はできない)であると考えられる。
D式より

―――――――――――――――――― H
これに表6,7の値を代入して熱伝導率を求める。ここで、T
1,T2は表7の温度が一定になったときの値、つまり、86分から100分のときの値であるから、熱伝導率は 

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≒
J/msK
となる。ここで、ステンレスの室温での熱伝導率の標準値を表9に示し、求められた熱伝導率と比較・考察する。
表10と実験結果より求められた熱伝導率とを比較すると、実験結果より求められた熱伝導率のほうが、値が低いことが分かる。その理由を考察すると、実験手順の中で100Vの一定電圧を加えるという操作があったが、このときに正確に一定ではなかったということが考えられる。これにより、ステンレススチール柱の中心軸にある熱源から外に向かって広がる熱流が一定でなくなり、誤差が生じたものと思われる。
以上のことをまとめると、(1)の考察にも関係してくるが、熱流の温度勾配(つまり温度差を測定する場所)のバランスが非常に大事であることが分かる。従って、どちらか一方でも不正確な値が得られると、誤差が大きく生じてしまうということが考えられる。